G-NSJTRMHH78 【初心者向け】電動モーターダンパーとは?種類・役割・メリット・デメリットを徹底解説|計装マスター
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【初心者向け】電動モーターダンパーとは?種類・役割・メリット・デメリットを徹底解説

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ビルや工場、商業施設の空調システムでは、ダクト内の風量や風向を自動で調整する「モーターダンパー」が重要な役割を担っています。
快適な室内環境を保つためにも、省エネや防災対策のためにも、適切な制御が必要不可欠です。

しかし、「ON/OFF型と比例制御型の違いって?」「スプリングリターンって何?」「どこにどれを使えばいいの?」と、意外と知られていないのが実情です。

この記事では、空調設計・メンテナンス・制御の現場で活用される電動モーターダンパーについて、種類・制御方式・メリット・デメリットをやさしく解説します。

電動モーターダンパーとは?

電動モーターダンパーとは、空調用ダクト内の風量・風向を自動で調整するための装置です。
ビル・工場・商業施設などの大規模空調設備で使われ、空調効率の向上や省エネ、安全性の確保に大きく貢献しています。

📌 主な設置場所

  • VAVユニット(可変風量制御)
  • 外気取入、還気、排気ダクト
  • 防火・排煙設備

モーターダンパーの主な種類と制御方式

電動モーターダンパーには大きく分けて以下の3種類があります。

2-1. 二位置制御型(ON/OFF)

制御信号無電圧接点・単純なスイッチ制御
用途トイレ排気、厨房排気、換気扇との連動
特徴完全に開く or 閉じる だけの動作

✅ メリット

  • 構造がシンプルで安価
  • 故障しにくい

❌ デメリット

  • 風量調整ができない

2-2. 比例制御型(アナログ制御)

制御信号0〜10V、4〜20mA などのアナログ信号
用途VAV制御、外気導入、温湿度制御
特徴0~100%の範囲で開度を比例制御できる

✅ メリット

  • 開度を調整することで、風量調整が可能
  • 室内環境に応じて柔軟に対応できる

❌ デメリット

  • 二位置制御型に比べて、初期コストが高い
  • 設置や調整に専門知識が必要

2-3. スプリングリターン型(フェールセーフ型)

制御信号二位置 or 比例制御 + スプリングによる復帰動作
用途防火ダンパー、排煙制御ダンパー、緊急遮断用、DCなどの重要系統
特徴停電時などに自動で元の位置に戻る安全設計

✅ メリット

  • 停電時に確実に動作(安全性が高い)
  • 消防法対応に有効

❌ デメリット

  • バネとモーターの両方の力が必要で高コスト
  • 重量・サイズが大きめ

ダンパー開度と風量の関係

ダンパーとは、空気の通り道(ダクト)に取り付けられた “風の蛇口” のようなもので、開ければ空気がたくさん流れ、閉じれば空気が止まります。

主に2種類のダンパーがあります:

  • 対向翼ダンパー:羽根が交互の向きに動いて開閉するタイプ。
  • 平行翼ダンパー:すべての羽根が同じ向きに動くタイプ。

開度と風量の関係はどうなっている?

ダンパーは単純に「開度50%なら風量も50%」とはいきません。実は 開ける角度と風量の増え方にはクセ(非線形性) があります。

対向翼ダンパーの場合

  • 開け始めても、風量の増え方はゆるやか。
  • 中間域(30~70%)では比較的なめらかに風量が変化。
  • 微調整がしやすいので、比例制御用に用いられる

平行翼ダンパーの場合

  • 少し開けるだけで、一気に風が通る。
  • 閉鎖時の気密性に優れる
  • 防火・防煙用など、ON/OFF制御に用いられる

したがって、平行翼ダンパーには二位置制御型(ON/OFF)モーターダンパーを、対向翼ダンパーには比例制御型モーターダンパーを用いるのが、適切です。

まとめ|空調設計における「モーターダンパー選定」の重要性

空調設備の省エネ化・快適性の向上・安全確保において、モーターダンパーの選定は見落とせない要素です。

✔ 設置場所と目的に応じて「適切な型式」を選ぶ
✔ 比例制御で「無駄な送風を抑え、省エネ」
✔ 重要系統の非常時対応には「スプリングリターン型」を忘れずに

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計装マスター
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計装エンジニア
空調計装メーカーに勤務しているエンジニア。 ニッチな業界かつ専門性の高さにより、ネット上にもほとんど知りたい情報がない、といった体験から、計装について知りたい人に向けて本ブログをはじめました。
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